制御工学における基礎知識学習システム


制御要素とシステム特性

制御システムの多くは、規定の値及び軌跡を得ることが目的となります。例えば圧力、温度、速度、厚み、トルク、加速度などの量を設計どおりの値に維持する必要があります。フィードバック制御はこれらの問題を達成することに対して、非常に便利な手法と言えます。ここではフィードバック制御システムの原理と特性及び利点について、開ループと閉ループとの比較を通して説明します。

開ループ制御システムは観測器を用いずに、実際の応答を設計どおりになるよう構成したものです。このシステムはフィードバックを用いることなく、直接制御対象の出力を設計したとおりに実現します。一般的な開ループ制御システムを図によって表すと次のようになります。

ここでR(s)は目標入力r(t)のラプラス変換、Y(s)は出力y(t)のラプラス変換、D(s)はコントローラーの伝達関数、G(s)はプラント(制御対象)の伝達関数、そしてU(s)が制御入力u(t)のラプラス変換表現を表しています。

一方閉ループ制御システムは、さらに設計上の出力と実際の出力との比較を行うために観測器を含んでいます。出力の測定値をフィードバック信号と呼びます。通常の閉ループ制御システムは次のようになっています。

ただしR(s)は目標入力r(t)のラプラス変換、Y(s)は出力y(t)のラプラス変換、D(s)はコントローラーの伝達関数、G(s)はプラント(制御対象)の伝達関数、U(s)が制御入力u(t)のラプラス変換、E(s)が誤差e(t)のラプラス変換表現、そしてF(s)がセンサーのゲインであったり伝達関数であったりします。特にF(s)=1の時、このシステムを単位フィードバック制御システムと呼びます。

開ループシステムと比べて、閉ループシステムの利点は次のようなものがあります。

一方欠点としては次のようなものがあります。

参考文献
Arthur G.O.Mutambara "Design and analysis of control system" CRC Press LLC (1999)