制御工学における基礎知識学習システム
位相進み補償
位相進み補償とは、制御対象に対してあるブロック(補償器)を付加し制御対象の振る舞い(過渡特性)を改善するときに用いられます。位相進みの主な特性は、共振周波数近くの位相が増加することにより位相余裕が増えることで、安定度が改善されることになります。さらに最大行き過ぎ量(Mp)についても減少するので立ち上がりが早くなります。
ここで、一般的な位相進み要素を以下のように示すことができます。
この K、T、によって補償器の特性が決まります。
位相進み補償特性の例をボード線図で見ると以下のようになります。
このようになり、Kはゲインの大きさに関係し、Tは角周波数において改善したい位相特性について、補償器の特性をどこから入れるかを決めるパラメータとなっています。はその位相特性をもちいる範囲を決定します。
制御対象のボード線図で描かれた位相特性を見て改善したいところ(ゲイン交点など)に、上述の特性を適応させパラメータを調節して望ましい過渡応答を得ることができます。このことをふまえて補償器の特性を決定します。
選定した補償器は以下図のように制御対象に対して与えてやり特性を改善することになります。
図:補償器と制御対象のつながりを示したブロック線図
R(s):目標入力 U(s):偏差 Y(s):制御出力
G(s):制御対象(伝達関数)
ここで、使用している位相進みの対として位相遅れというものがあり、位相進み補償、位相遅れ、PID制御則と並んで広く用いられています。また位相遅れ補償は安定度と定常偏差を改善しますが速応性を悪化させ、位相進み補償は速応性が良くなることから両者を組み合わせて特性をさらに改善させる方法も存在します。
電気回路で位相進み補償器を構成するときには以下の図のように素子の組み合わせで製作できます。
*このような回路図がいるのか??いるなら式も追加か?きく
図:位相進み補償器の回路図