制御工学における基礎知識学習システム


多入力・多出力(MIMO)システム

線形制御理論に関する文献の多くは単入力・単出力(SISO)システムを対象にしたものです。しかしながら2つ以上の物理量を同時に制御する必要があるシステムも存在します。

例えばプロセス制御においてはプラント規模の拡大化に応じて制御量の数が増加し、それに伴いコントローラーが複雑な構成になることが多くあります。このような多変数制御系に対しても、単一制御系に対する手法を拡張適用することによってその特性を究明することが可能です。しかしながら多入出力であるために見られる独特な振る舞いも見られます。よってこれを解明するための理論的考察が必要です。

次の図のような多入力・多出力システムが存在したとします。

入力ui(t)と出力yj(t)との間の伝達関数をGij(s)と表されていると仮定すると次のように表すことができます。

このように多入力多出力システムの伝達関数はブロック行列のように表すことができます。これを伝達マトリクスと呼びます。

参考文献
椹木義一 砂原善文「自動制御工学1」養賢堂(1997)