制御工学における基礎知識学習システム


極配置による制御系設計

フィードバック制御系を設計する方法のひとつとして、極配置を指定する方法があります。そしてその極配置の方法にはAckermannによる1入力系に対する方法と、ロバスト極配置法による多入出力系に対する方法があります。ここでは前者の方法について説明します。

Ackermannによる1入力系に対する状態フィードバック設計は可制御正準形式を用いることによって次のように行うことができます。

まず、可制御であるシステムを可制御正準形式のシステムに変換します。すると次のようになります。

ただし

です。そしてTcは変換行列です。またaiはシステムの特性多項式の係数を表します。

状態フィードバックによって、制御対象の入力に対するフィードバックの作用は次のようになります。

ただし

です。したがって可制御正準形式のシステムは状態フィードバックによって次のようになります。

このとき、フィードバック制御系の特性多項式は次のようになります。

ここで制御系の望ましい極を

とすると、制御系の特性多項式は次のようになります。

この特性多項式とフィードバック制御系の特性多項式が同一のものであるため、次のようになります。

最終的に、元のシステムにおける状態フィードバック行列は次式のようにして求まります。

参考文献
高木 章二「メカトロニクスのための制御工学」コロナ社(1993)