制御工学における基礎知識学習システム


ステップ応答過渡特性に関する基本定義

実際の制御則設計において、制御システムの応答特性を時間応答を見ることによって改善することが多くあります。これはシステムの動作が入力信号にのみ比例しているのではなく、時間の遷移にも依存しているためです。しかもシステムに外乱が印加した場合であっても、その出力がその信号応じた動作を行います。

制御システムの動作特性を得る方法のひとつとして、単位ステップ入力によって過渡状態でのシステムの遷移を観察します。これは入力として生成が容易で十分な情報を得ることができるためです。(そしてこのステップ応答が分かれば、任意の入力に対するシステムの応答を計算することが解析的に可能となります。)

ステップ応答は変数の初期値に影響されます。様々なシステムの過渡特性が比較されるために、システムの変数の初期値を零にすることが多くあります。システムの応答特性に対して次の量が定義されています。

1. 遅れ時間(td)
応答が定常状態の50%の所に達するまでの時間を指します。
2. 立ち上がり時間(tr)
応答が最終値の10%から90%までに達する時間を指します。減衰振動的な応答のシステムでは、普通、0%〜100%が使われます。5%〜95%が使われることもあります。
3. ピーク時間(tp)
行き過ぎの第1ピークまでの時間を指します。
4. 最大行き過ぎ量(Mp)
応答の定常状態に対する最大ピープの値を指します。パーセント(%)で現されることもあります。パーセント行き過ぎ量では一般的に次のような式で表されます。
最大行き過ぎ量はシステムの相対安定性と直接比例しています。
5. 設定時間(ts)
応答が定常状態の2%または5%の所に達するまでの時間を指します。


参考文献
野波健蔵 西村秀和「MATLABによる制御理論の基礎」東京電機大学出版局(1998)